【書評】ゼロ秒思考「頭が良くなる世界一シンプルなトレーニング」　著者：赤羽雄二

「目の前に見える物は、結果だけ！」、それに至る理由は、陰に隠れていて外には見えてこない。
だから、その隠れている真実を見る為には、「深く考える事が大切なんだよ！」…と多くの思考本では説明されています。

でも「それが出来れば苦労しないよ！」。
そう苦笑する人が、私は多くいると思います。

実際深く考えるにはどうすれば出来るのか？
残念ながら、深く考える為の具体的アプローチ法は、私が読んだ思考本からは見えて来ませんでした。

多くの思考本が世に有り、深く考える重要性と深く考える糸口を提示してくれていますが、具体的に深く考える方法論までは見えて来ないのです。
そして「深く考える必要性は分かっているが具体的方法が分からない！というのは、逆に蛇の生殺しの様で、返って「ストレス」になる！」。
そう嘆く人が、この世には多くいると思います。

あなたはどうですか？
「自分は深く考えられている」と思いますか？
世の中の出来事に、自分の見解を「明確な理由を説明しながら」話す事が出来ていますか？

少なくとも私は、大変残念な事ですがとても深く考えられているとは言えません。
でも、このゼロ秒思考の本に出会い、「自分にも深く考える事が出来る」かもしれないと思いました。

この思考法に出会ったのは、この本を書いた著者が今年2021年4月に出版した「瞬時に切り返す会話術」という本を読んだ時です。
そこで、「ゼロ秒思考A4メモ」と言う手法を知りました。
そして、実際にＡ4メモ作成にトライしてみた結果、深く考えるという事に確かな有効性を感じ、手応えを感じたのです。

何が良いかというと、課題に対し浮かんだ色々な思考の断片が、普段は各々が上手く結びつく事なく消えてしまいますが、A4のメモ用紙に書き出される事で俯瞰され、結果として各々が結び付き全体像が浮かび上がって来るのです。
それは、バラバラであった思考の断片の意味が結び付き、答えとなる。…そんな体験でした。

実の所、「ゼロ秒思考」という本は「瞬時に切り返す会話術」本の約8年前（2013年12月）に出版されベストセラーになった本です。
少し古い本ですが、ゼロ秒思考Ａ4メモについてもっと詳しく知りたいと思い、この思考法の元となった本書を読んでみる事としました。

この本を読んだ結果、深く考える以上に「ゼロ秒思考」という「瞬時に答えを導き出す能力」を取得する事が主眼となっている事を知りました。
【＊ゼロ秒思考とは、事に当たり、瞬時に現状を認識し、瞬時に課題を整理し、瞬時に解決策を考え、瞬時にどう動くべきか意思決定出来る事。】
そして、ゼロ秒思考は、「訓練すれば誰でも身に付ける事が出来る能力」だという事です。
何故ならば、「会話し、本を読み、NETが出来る人は、みんな頭が良い」のだから…と著者は言っています。

褒められれば「豚でも木に登る」ように、「みんな頭が良い」という見解を素直かつ都合よく受け入れて、このゼロ秒思考A4メモ書きを、私は現在はじめています。

ゼロ秒思考のA4メモ書きは、1日10枚を各ページ1分以内で、心のモヤモヤ、感心した事、頭に浮かんだ事を、思い付いたまま書きなぐっていくだけです。
この「1枚1分以内で仕上げる」という条件が、ゼロ秒思考の頭の思考回路を作るトレーニングとなり、瞬時に答えを導く「ゼロ秒思考」の能力を身に付けさせるというのが著者の主張です。

・自分の考えに深みがない事を自覚しているが、考えを深める方法が分からない！
・何事にも自分の意見を持てていないので、自信がなく発言が出来ない！
・何事に対しても引っ込み思案になってしまい、自分を出せない、自分から行動も出来ない！
・判断に自信がないため、決断が遅くなり、スピーディーに物事を進められない！

そう自分の事を自己評価し、悔しい思いをしているならば、是非このゼロ秒思考Ａ4メモ書きにチャレンジしてみて下さい。

「Ｎｏチャレンジ　Ｎｏチャンス！」。
これは、カーレースのインディー500で優勝経験のある佐藤琢磨氏が言った言葉ですが、チャレンジ無き所に新しく生まれる物は有りません。
それに、トライするのに必要な時間はたったの30分。
それだけあれば充分なのですから！

どうですか？
やってみませんか？
チャレンジすれば、必ずや得る物が有ると思います。
但し、その真価を味わうには「何としても物にする！と言う気持ちの下に」続けてこそですが・・・。