【書評】東大読書 著者:西岡壱成

東大の入学テストでは、「知識の量」を持っていても合格は出来ない!
何故ならば、東大のテストは、知識で解ける問題ではなく、「知識を上手く活用しないと解けない問題」が出されるからだそうです。
そういう問題が出題される訳は、東大が学生に問うのは知識ではなく「知識の運用能力」「自分で考える力」を重視しているから。…との事です。

『大切なのは「知識を増やす」勉強ではなく、「考える力」を身に付ける事』

では「考える力」を身に付けるにはどうすれば良いのか?
著者は、本の読み方を変えるだけで良い!…と主張しています。

必要とされるのは「地頭力」。ちなみに地頭力というのは、「素の頭の良さ」「自分で考える力」の事。
地頭が良い人は、以下の能力を身に着けている。

①読解力:   さっと本質を捉えられる。
②論理的思考力:クリアな論理展開が出来る。
③要約力:   複雑な事を一言で説明できる。
④客観的思考力:物事を多面的に捉えられる。
⑤応用力:   知識を使いこなせる。

これ等が、「本の読み方を変える」だけで鍛えられる。
つまり、「地頭力」は後天的に強化出来ると著者は言います。
著者は、本の読み方を変える事で「高3で偏差値35」から脱却し、東大に合格したとの事です。

さすがに東大のブランド力は凄い!
読み方を変えるだけで、東大に合格するなら読まずにいられない!
という気持ちになりますよね!

では、「東大に合格する本の読み方」とはどういう読み方か?というと、それは受身の読書でなく「能動的読書」をする事。

本を読んだ事で分かったつもりになっても、受身で読むと結果として何にも身に付かず、読書時間がただの「時間の浪費」になってしまう。
当然、「知識も考える力も」鍛えられず身に付かない、学生であれば成績が上がらない。
そういう結果となります。

では受身の読書から能動的読書へ変える為には、どうすれば良いのかというと、「どうしてこういう風になるの?」「これは本当にそうなんだろうか?」…と著者に問い掛ける事。
それは自分が記者になり、本(すなわち著者)と「議論する」「会話する」つもりで読むという事。
この「本と議論する」「本と会話する」という事は「読者が質問として著者へアウトプットする事」なので、質問をするには本気で本の内容を読解する事が必要とされます。
アウトプットする事を前提に本を読むという事は、本の情報の正しさや意味を問いながら(自分の考える力で)自分の意見を作り出すという事です。
つまり記者の気持ちになり読書する事で、読書が他人事から自分事に変換され、知識を使う力「地頭」が鍛えられていく。

「考える力を鍛える」事を目標に、「本を読み込む」事が出来る様になってから、著者の成績はみるみる上がり東大に合格したとの事です。

長々とこの本の特徴を述べてきましたが、ここで本の内容に触れてみます。

前記しました「地頭力」①~⑤の各能力を身に付ける為に、1能力に付き1章を割いて詳しい内容の説明がされています。
そして各章には、能力を身に付ける為の詳しいメソッド化した方法が、提示されています。
ただ、詳しいけれど決して易しい物では在りません。…(あくまでも私にとってはですが。)
例えば、「表紙装丁を見て本文の主張を予測し、付箋に書出す」など、それこそ自分から能動的に係る覚悟でミッションをクリアする事を求められます。
でも難しいが、実施すれば確実にその対価を得られると感じられました。

話は変わりますが、私は常々テレビのコメンテーターは凄いと感じています。
日々流れる情報に対して、コメントする時を考えて情報に接し、アウトプットする事を考えながらインプットしているのだと思います。
それは、常日頃情報を他人事でなく自分事として捉え、自分の価値基準が正しいのかも日頃チェックしながら「正しいコメントが出来る様、思考の準備」をしているのだ思います。
これは、能動的読書に似た能動的情報収集と言える。…と感じています。

世の中の問題にコメント出来る人は、素敵だと思いませんか?
この本の「能動的読書を」身に着けられれば、そんな素敵な人に変身できるのではないか?
そう感じました。

一日24時間は、誰にも平等に与えられた資産です。
でも、その資産を無駄使いしている人が多い、というのが現実と感じます。
この貴重な時間資産を無駄にせず、有意義な時間に出来る方法が、この本には提示されてます。
少なくとも、有効な時間の使い方を考える機会となる事は間違いないと、私には言えます。

2021年4月18日 記

本の明細
著書名:「読む力」と「地頭力」がいっきに身に付く 東大読書
著者名:西岡壱成
発行所:東洋経済新聞社
第1刷発行日:2018年6月14日
定価:1400円+税 

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