【書評】右脳思考 ロジカルシンキングの限界を超える観・感・勘のススメ 著者:内田和成
この右脳思考の本は、内田和成さんの仮説思考→論点思考→右脳思考へと続く三部作という事なので、読んでみました。
仮説思考が2006年3月31日発売で、本書発売が2019年1月8日ですから、実に13年かけて三部作を完成したことになります。
「魂を込めて完成させたのだな~」と感じました。お疲れ様と言いたいです。
最初の仮説思考本は、インパクトの強い本でした。この本のお陰で仕事の進め方がスピードアップし恩恵を受けた人が、日本にはたくさんいたのではないかと思います。こんな本を書けるようになりたい。…と私の目指す処となっています。
話を本題に戻しますが、「右脳」ってどういう働きなのか?
自分がどうも「左脳」型人間と思われるので、もう一つ私自身の中で、つかみきれないものとなっています。ただ、もし左脳=ロジック、右脳=ひらめき、という事ならば、ぜひ右脳を働らかせられる自分になりたい…と正直思います。
では、この本での右脳の働く分野について、著者はどう言っているのでしょう?筆者の意見を下記致します。
この本でいう右脳の働き:「感覚・感情・直観・勘などロジックでは説明できないヒラメキ・思い付き・考えの相称」
いわゆる「自分探しの旅」の様に、言葉に表わしにくい、説明しにくい心に内在する感覚の世界を取り扱うということですね。
例でいえば、『クライアントから依頼された案件で、クライアントに対し提案する案件の説明をした結果、「説明された内容は、ロジックとしては確かにその通りと認めるが、でも何か気乗りがしないので、やらないことにする」』とクライアントに言われてしまったケースです。要は、ロジック的な説明レベルはクリアしたが、心から納得(腹落ち)させるまでの品質レベルに行ってない状態です。
相手の心の感覚・感情の領域なので、何とも断れた理由がわかり難くく対処に困る内容となります。
こういう事例は、皆さんも多かれ少なかれ経験している事だと思います。相手の気持ちの部分に届かない提案だったのだろうと思います。つまり、理解を超えて納得させる部分(心へのケア)が不足していたのだろうと思われます。
これを言葉にまとめると「人は理屈で動くのではなく、人は感覚・感情で動く」という部分への配慮がなかったという事ですね。
このような時の現実的対応としては、ロジックのみでなく相手の心理状況を理解した上で感覚・感情にも訴求し、理解してもらう(=「右脳の世界」の対処)事が求められていると考えねばなりません。
著者は、この感情の世界への実際的な説得のアプローチとして、「ロジックにストーリーを付ける」事を推奨しています。
このタスクの意味は、「人は感情で動く」だから「ロジックにストーリーを付けて、納得させる(相手の腹に落ちるようにする)」という事です。
これは、決断を邪魔する「意思決定者の抱える”恐れ・懸念”」を払拭し、「提案する案件のメリット」をストーリーで提示する事で、感情を動かし説得する事となります。
承認されなかった原因は、感覚・感情まで踏み込んで「意思決定者の十分な腹落ち」を獲得出来ていなかったことにあります。
これは、「感覚・感情といった心を動かす右脳の働きを知り、右脳を働かせられる自分になることが、勝者の条件になる」という事なのだと思います。
いつも企画や提案にスムースな決定を頂けないとお悩みの方は、提案する内容にこの「右脳を考慮した表現=感覚・感情を納得させる表現」が欠けているのかもしれません。
左脳にプラスして右脳に届かせる技術を持つことで、この悩みを解消する事が出来るかもしれません。
右脳は私も初心者で、偉そうな事を言える立場でない事を承知の上で、もし読んでおられないなら、一度読んでみて右脳の活用について考えるきっかけを作る事をおススメしたいと思います。
言葉の世界にいると、ついついロジカルに説明されないと納得しないクセがついてしまいます。それは悪いことではないのかもしれません。でも、そのクセが、「本来人間が持っている本能的能力の発揮」を阻害しているのではないか?
そんな恐れを感じる事があります。
「直観に従う!思ったことを即実行!浮かんだ感情をそのまま表現する!」事で、開かれていく世界があるような気がしています。
そのキーワードが「右脳」。
この本を読みながら、そんなことを感じました。
せっかく5月に入ったというのに、この所雨模様の日が多く、やや鬱々とした毎日を送っています。
やはり、5月は気候温暖で、かつ爽やかでないと5月という気がしませんよね!
皆さんは、いかがお過ごしですか?
最近は、私もさすがに長期にわたるコロナに疲れを感じています。
楽しみにしていた、旅と少し高めな昼食会が封印され、気分転換が出来ません。
でも、皆さんも同じ境遇にいる事を考えると、知恵を出して気分転換し乗り越えるしかありませんね!
ついつい、愚痴を言っていまいました。
失礼いたしました。
まだまだ、頑張ります。
皆様もめげずに、お過ごしください。
2022年5月17日記
本の明細
著書名:右脳思考 ロジカルシンキングの限界を超える観・感・勘のススメ
著者名:内田和成
発行所:東洋経済新報社
第1刷発行日:2019年1月8日
定価:1600円+税