【書評】仮説思考 BCG流問題発見・解決の発想法 著者:内田和成
あなたは、自分が抱える個人的問題に仮説思考で答えを出したことがありますか?
もし試した事がないならば、是非、仮説思考を家庭の悩みや個人的な悩みに使う事にトライしてみて下さい。
誰しも、仕事だけでなく個人的な問題でも、多くの悩みを抱えていると思います。でも何故か、せっかく仕事上で必要とされ、学び、使っている仕事の技術を、個人的な問題に応用する事を考えない人が、多いのではないかと思います。…私がそうだっただけに、思い込みかもしれませんが。
仮設ですが、個人的悩みに仕事の思考技術を使わない理由は、恐らくその人が仕事人間だからでしょう。軸足を仕事に置いているから、個人的なことは後回しにしてしまうのではないか?…今、過去の自分を思い返すと、そう感じます。でもそれでは「惜しい!宝の持ち腐れ!」と言いたいです。
何故、こんな話をするかと言うと、それだけ仮説思考には、力があると思うからです。
1日は24時間。でも自分に使う時間は、せいぜい1時間ぐらいというのが多くの人の実情であると思います。だから、個人的課題が解決されず、仕事が終わった後でも気分が晴れない。だから酒を飲んで憂さ晴らしをする。結果、自分へ投資する時間が持てず、問題を先延ばしして、益々陰鬱になる、という悪循環の中に落ちていく。
こういう悪循環の世界から抜け出し、良循環の世界を作りたいと思っている人が多くいるのではないかと思います。
私は、この問題を解決する手段としては、「思考のスピード化を図る」のが決め手だ!と考えています。
『今の時代は「変化の時代」である』というのが多くの人の認識なのではないでしょうか。デジタル化の高速な進化が全ての変化を呼び、あらゆる物が高速スピード化に追い立てられています。そんな状況の中で、旧態依然とした思考法で物事を進めていては、益々取り残されてしまいます。
「思考のスピードが上がる事で、結果決断の内容の質も上がる思考法」へ自分の思考法を上書きしないと、変化についていけず、残念な結果を呼び込むことになる時代にいる、と私は感じています。
この本は、16年前に発行された本ですが、その時代よりももっと仮説思考が求められている時代が来ている、と思っています。
従来は、闇雲に情報を集めてから結論を探っていくから遅くなった。それに対し、仮説思考は、今ある情報の中でまず仮説(仮の結論=ゴール)を出すから、ゴールという目標を共有する事で関係者が適切に動け、早く結論を導き出せる。
そして、経験を積むことで益々直観力が働き、正確さも増していく。
思考のスピード化を迫られている現代において、仮説思考は学びの必須項目である。…と確信しています。
ただ、注意すべきは、「本を読んだことがあるから知っている」と思い込むのは、ダメだということです。使いこなし、実際に仕事がスピード化されないと、意味がありません。
そこで、冒頭で言いました個人生活レベルでの仮説思考の実践をおススメしたいと考えています。とにかく、経験を重ね、直感で答えが導き出されるようになれば、多くの悩みから解放されると思います。
正直に言うと、私も仮説思考の技術は、自動車でいう仮免の前の技術レベルです。でも情けないとは考えておりません。これは、サッカーの長友選手が良く言う私の”伸びしろ”と捉えています。ある意味ワクワクする心境です。
どうですか、未体験のアナタ、試して損はないと思いますのでチャレンジしてみませんか!
最後に、著者の声を紹介して、この書評を終えたいと思います。
『経営コンサルタントとしての経験から、ビジネスパーソンとしての成功のカギを1つ教えてくださいという問いに、長い間、それは「学習能力」だと答えてきた。しかし、改めて何の学習能力かと問われれば、最近は「優れた仮説の構築とその検証の能力」であると確信をもって言える。』
梅の花が散り、桜の花が散り、ハナミズキの花が散り、いよいよ5月に突入しました。
連休は、明日から天気が続く様です。
読者の皆様も、連休で英気を養って下さい。
やはり、暖かくなり、晴天が望めるようになると、気分が上がりますね。
日曜日投稿のペースが遅れ始めて三週間、今週は1日戻して投稿が出来ました。
この調子で、毎週日曜日投稿に戻したいと考えております。
2022年5月2日記
本の明細
著書名:【書評】仮説思考 BCG流問題発見・解決の発想法
著者名:内田和成
発行所:東洋経済新報社
第1刷発行日:2006年3月31日
定価:1600円+税