【書評】自分とチームの生産性を最大化する「仕組み」仕事術 著者:泉正人

「仕組み」ってなあに?
そう問い掛けられて、あなたは答えられますか?

答えられない人は、『人生の多くの時間を「ムダ」に費やしている』と考える必要がありそうです。ただ、この「答えられない人」問題をポジティブに解釈すると、答えられないあなたの現状は”宝の山”にいるとも言えます。「仕組化すれば、ムダに消費されていた時間が排除され、莫大な時間を手に入れられる」。”時間の宝の山”とはそういう意味です。…若干、皮肉混じりの見方ですが。

そこで、改めて仕組みとは何か?を考え直してみました。
①:辞書には何と載っているのか?…「仕組みとは何か?」を辞書で引いてみました。
・[「仕組み」とは、物事の組み立て。構造。機構。事を上手く運ぶために工夫された計画。]…とあります。

②:では、著者は、仕組みについて何と言ってるのでしょう?
・[「仕組み」とは、「誰が、いつ、やっても同じ成果が出るシステム」の事を指す。]
・[「仕組み化」とは、「属人性を排除し、何時、何処で、誰が、毎回行っても同じ成果を出せる方法を体系化する事」]
と言ってます。
*尚、属人化とは、「ある特定の業務についての進め方や進捗状況などの情報を、担当者しか把握していない状況」の事です。

上記の言葉を参考に、「仕組み化」について自分なりの言葉でまとめてみました。

[「仕組み化」とは、『自分とチームの生産性を最大化する「シンプルかつ合理的な仕事の段取り・フローの標準モデル」を作り、マニュアルに落とし込む作業』]。と捉えました。
*尚、マニュアルとは、「ある条件に対応する方法を知らない者に対して、教える為に標準化・体系化して作られた文書」の事。…wikipediaより

「仕組み化」の目的は生産性(生産性=成果÷時間)を上げる事に有ります。そして、そのターゲットは時間短縮ですが、時間以外の波及効果も含め、著者は、下記する5つのメリットをあげています。

①:時間が得られる。(やらなくて良い仕事を止める。他人に任せる。もっと速く終わらせる方法を探す事で)
②:ミスが無くなる。(ミスの原因を考え、対策を織り込んだマニュアルにする事で)
③:人に仕事を任せられる。(なんでも自分が対応する=属人化方式を止め、マニュアルを作る事で)
④:最小の労力で最大の成果が出せる。(実際に成果を出したケースの良い所を下敷きとして、効率化する方法をマニュアル化する事で)
⑤:自分とチームが成長し続けられる。(時代の変革、新たな形のミスなどに対応し、マニュアルを更新する事で)

「生産性を上げよ!」なんて、社内で号令が掛かっても、何をすればいいの?と悩んでしまう人には、この5つのメリットが生産性改善の切り口になると思われるので、参考にしてみて下さい。

「仕組み化」を考える業務の選定は、”何でもかんでもやる”のでなく、著者は「費用対効果」を考え下記二つの「仕組み化選定の基準=ルール」を作っているそうです。
①:「月に一度以上行う業務」
②:「今後5回以上同じ事をやる業務」

そして、仕組化を行うには、そのチャンスを逃さない事が重要、と私は考えています。その大きなチャンスとは、時代を変えうる技術が生まれた時と考えています。
私の仕事に限って言えば、私が感じた技術変革には三つの大きな出来事が有りました。それは、

①:卓上計算機が生まれた事。…それまでは”計算はソロバン”で、ソロバンが出来ないと速い業務処理が出来ない時代でした。
②:ウインドウズパソコンの登場。…それまでは、計算は卓上計算機が主で、複雑な計算、修正が出る計算には大変な時間を投入していました。
③:人工知能AIの登場。…人間の思考のメカニズムにまで踏み入って来た画期的技術で、使えるかどうかは死活問題になる。…と感じています。

②の技術(エクセルのマクロ技術)についていえば、これを利用した自動計算処理ソフトを作る事で、私の仕事の計算を含む仕事の処理時間は大幅に短縮されました。

現代は変革の時代です。思考力で一歩先んじて対応する事が、生き残る為に必須な状況です。

こういう時代だからこそ、ルーチンワークを仕事の仕組み化で極力ゼロ化、省力化し、時間の使い方を思考の時間に多く振り向ける事が重要、と著者は指摘しています。

とにかくスピード化!
実現力の課題とは何か?を常々考えながら本に接っしていると、多くの本がこの課題を追っている事に気付きます。
人に与えられた時間は、一日24時間。
それは全ての人に共通する最も大切なインフラです。
でも、仕事処理のスピードが変われば、一日24時間が長くも短くもなります。
時間を生みだすという意味で、「仕組み化」を図る技術は、是非とも身に付けたい技術です。
私もこの「仕事のスピード化」という課題には、チャレンジし続けたいと考えています。
スピードを上げたい事は、色々あります。
その中でも、読書、アウトプット、思考のスピードアップは是非とも成し遂げたい項目です。
ただ、スピード化で生まれた時間も、それを意味ある時間にしないと、それこそ意味がなくなります。
スピード化と共に、生まれる時間をどう生かすのかは、同時に考えていく事が大切かと思います。

2022年3月27日記

本の明細
著書名:自分とチームの生産性を最大化する「仕組み」仕事術
著者名:泉正人
発行所:㈱ディスカヴァー・トゥエンティワン
第1刷発行日:2017年4月20日
定価:1500円+税

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です