【書評】観察力の鍛え方 一流のクリエーターは世界をどう見ているのか 著者:佐渡島庸平

この本を読みながら、何か自分の弱点を指摘されたように感じました。
自分は、今まで世界の何を観て、そして世界をどの様に観て生きて来たのだろうか? ただ、何も考えず、自分から意図する事なく漫然と情報を受身で受け取り、深く考える事なく生きて来たのではないのだろうか?

そんな「自分への問い」が、自分の中に浮かんできました。

心当たりがあるのです。
ある時から、テレビに出て来る芸人やコメンテーターは「凄い」と感じる様になりました。何が凄いと感じたかと言うと、世の中で起きている事象の意味をしっかりと掴まえ指摘している。しかもそれに対し「”こうするべき”」という自分の意見を構築し発言出来る。芸人に至っては、それを笑いに転化している。

では何で、自分には出来ていないのだろうか?

その答えが、観察の仕方に有ったのではないか? 思い返すと、この本の題名を見た時に、その事を感じ取った気がします。

今まで「観察する」という事にフォーカスして、考えた事が有りませんでした。だから、意図せず「見る」と意図して「観る」に天と地の違いがある事に気付かず生きて来た事になります。

世の中で見える事は「結果の世界」、「結果という起きた後の現象」を見るだけでは、結果が生まれた「本質と構造」「動機」など原因は見えてこない。だから「意図する事なく、対象を漫然と見る事」や「ただ単に情報を受け取り、意味まで深掘りしない」生き方では、世界の真の姿は見えて来ない。

意味あるアウトプットは、見えている結果に隠れた「本質と構造そして動機」まで迫った「適正なインプット」が有ればこそ出来るもの。その「適正なインプット」は、深く観察出来るからこそ可能となる。

良いインプットも良いアウトプットも、その根本は事象を深掘り出来る観察力から始まる。

以上の事を喩的表現でコトバにすると、「大切な事はいつも表には出ず陰に隠れている。表面には見えない隠れた本質は、待つのでなく狩りにいってこそ手に入る」。「観察は、この隠れた本質を狩り取る道具」という事なのでしょう。
この本を読みながら、私はそう感じました。

著者は、2年近く「観察とは何か?」を考え続けて来たそうです。その結果として「観察力こそがドミノの一枚目」という結論を導き出しています。

有限の時間の中で、習得できる事は限られてしまう。それならば、最初に習得する事は、以降に習得すべき能力に広範囲かつ長期的に影響を及ぼすものを習得したい。その出発点「ドミノの一枚目」の能力こそが観察力というのが、著者の見立てです。著者曰く、「観察力を鍛えると必然的に他の能力も鍛えられる」との事です。

事象を深く理解するには、事象を切り分けて本質と構造を知る事が必要になります。そして、それを成り立たせるのが「観察力」なのだ。正しい観察が有ってこそ、正しい回答に結び付けられる。その始めの一歩目は「正しい観察」が出来てこそ、正しい答えに結び付けることが出来る。…そう読み解きました。

ただ、当たり前と言えば当たり前なのですが、観察力の大切さに気付く”キッカケ”が無いと、その大切さに気付かず生きてしまいます。
それこそ、一生ボーッと生きてしまいます。
この本を読み、観察力の大切さに目覚めましょう!

私は、正直情けないと思いましたが、この本を読了するのに約三週間を必要としました。私にとっては、著者の観察力の主張を理解する知見ベースが無く、理解しきれていないというのが本音です。著者の思考は遥か先に進んでいます。でも「観察力はドミノの一枚目」という主張は、確かに受け取りました。

「観察力の低さが自分の弱点」で、深い思考が出来ない大きな原因と理解しました。これから思考を重ね、実践に生かせる様に観察力研究を続けて行きたい。
そう私は考えながら本を読了しました。

私は、インドアタイプである事もあり、結構テレビ視聴が好きです。
ただ問題なのは、一度見始めると、計画していた次のタスクの予定開始時間を遅らせてしまう事が多く有ある事です。
こういう時は、自分に対し甘くなり、かつ自分への言い訳上手にもなってしまいます。
そして結果として、ブログ原稿作りが遅れ、眠る時間も遅くなり、又「やってしまった!」と後悔する日が多いのが、プチ悩みの種でした。
さすがに最近は、どうしたらこの「遅らせグセ」を治せるのか?と考える始める様になりました。
そこで、思い付いたのが、とにかく「開始時間だけは守る!」という事です。
例えノリが悪くても、始めてしまえば仕事モードに気分が自然と変わっていくだろう、と考えたのです。
やり始めて、二週間。とても効果があるようです。
ただ、これが完璧に出来ない事も、実はけっこうあります。
それは、自分ではコントロールが出来ない家族からの緊急要請が、多く有る事です。
「ちょっと相談したいの!」と奥さんに言われると、振り切れない弱い自分がいるのです。
正直な所、自分にとって奥さんの方が優先度が高いので、どうも又別な対策を講じることが必要なようです。
でも、「開始時間だけは守る!」は少しずつ軌道に乗って来てる様に感じます。
いかがですか?同様なお悩みを抱えてる方は、一回試してみませんか?

2022年2月13日記

本の明細
著書名:観察力の鍛え方 一流のクリエーターは世界をどう見ているのか
著者名:佐渡島庸平
発行所:SBクリエイティヴ(株)
第1刷発行日:2021年9月15日
定価:900円+税

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