【書評】USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門 著者:森岡毅

マーケティング?

仕事をしている人は誰でも、この言葉を一度は耳にしたことが事があるのではないかと思います。でもその内容をどれだけの人が理解しているのでしょうか? 私が思うに、マーケティングを理解している人は、ごく少数派だろうと想像しています。

この本の著者である森岡毅さん!と言えば、あのTV番組「林先生が驚く初耳学」での説得力のある熱血授業で一躍有名になった人です(これは私の思い込みかもしれませんが…)。そして、森岡毅さんの本は、前回の書評「苦しかった時の話をしようか」でも取り上げさせて頂きましたが、もっと森岡さんの考え方を知りたいと思う手応えが有り、この本を引き続き読んでみました。

森岡さんは、この本のプロローグで「マーケティングこそがビジネスを成功させるための方法論」…と断言しています。そして、マーケティングに弱い日本経済の停滞、ひいては日本の未来を心配しています。

森岡さん曰く「マーケティングの力によって企業は劇的に変わる」事が出来るのだそうです。
では、日本の会社には、どんな問題があるのでしょう?

この点について森岡さんは、「問題は会社として頑張るべき焦点『何処で戦うか』を正しく明確に設定出来ていない」点にある。…と言っております。正しいビジネス・ドライバー(衝くべき焦点=着眼点)を見極めて、正しい方向へと皆を引っ張り、そこに全社の努力を集中させ、皆を戦わせ、会社を勝たせる。それが「マーケティングの使命」と考えているとの事です。

要は、日本の会社は総じて「マーケティング力が弱い」又は「マーケティングを知らない」会社が多い所に問題があるという指摘です。マーケティングの部門が有っても、マーケティングの本来の仕事「会社単位の意思決定をドライヴする」ことが出来ていない。…という事です。

では、マーケティングの「根っこ」とは何なんでしょうか? それは技術志向(プロダクトアウト)の「作った物を売る」から消費者志向(マーケットイン)の「売れるものを作る」への転換であり、「消費者視点(Consumer Driven)」という価値観と仕組みの導入にある。

それは、「消費者の方を向いて消費者の為に働け」という意味で有り、仕事の価値判断の基準を「どれだけの消費者価値に繋がるか」に置くという事です。

では、なぜ日本企業はマーケティングの力が弱いのか? それは、マーケティングはもともと日本の学問にはなかった学問で、激しい弱肉強食である「自由競争市場」のアメリカで「生き残る」という必要性に迫られ発達したものだから。と著者は説明しています。

まとめて言うと、「巨大な自由競争市場のアメリカにおいて、企業が生き残る為の消費者最適を担保する知恵を体系立てたもの」それが「マーケティング」という実践学。…という事です。

では、なぜマーケティングが日本で発達してこなかったのか? その原因は、過去の日本の市場は自由主義経済というよりは統制経済(護送船団)に近く、温室にいる様な緩い競争状態にあった為に、本来の競争力が育ってこなかったことに有ります。この甘い土壌が、物が市場に不足しており、作る事が価値とされる技術志向が優先された「作った物を売る」時代から、モノが有り余り、モノの価値より顧客の価値が優先される「売れるものを作る」時代への視点変換を阻む結果を生む事となった。…と考えられます。

良い物を開発したり作る事はできるが、消費者視点がないから世界的販売の舞台では後れを取ってしまう。そんな「マーケティングに弱い」土壌が、現在の日本経済の低迷の原因。…と読み解くことが出来るという事です。

現在の経済における競争は、地球的規模のグローバルな激しい競争の環境下に有ります。今まさに、消費者視点で会社を引っ張るマーケティング力の強化が求められているという事です。

いかがでしょうか? マーケティングの必要性を感じたでしょうか?
この本を読む事で、私は、掴み切れていなかった戦略の意味を理解する事が出来ました。非常に易しく書いてあるので、もしマーケティングに興味を感じるところがあったなら、一度この本を読む事をおススメ致します。

話は変わりますが、「マーケティング」という考え方は、「会社が自由競争世界で生き残るために必要な方法論」として生まれてきていますが、個人レベルでも導入すべき考え方と、私はこの本を読みながら感じました。

個人生活の安定や安全を守って来た年功序列と終身雇用という日本モデルが崩れてしまった現代では、個人も自由競争社会というマーケットの中で、生き残りの戦いを強いられています。それは、「自分を守ってくれるのは会社ではなく、自分の力量にしかない」という事を意味しています。

つまり個人が生き残るためには、自ら雇用市場又は戦う場所を「マーケティング」し、求められる「職能やスキル」を見据えて個人の特徴を活かした武器を磨いていかなければいけない。それが、生き残るために必要な時代なのだと、特に若い人は認識する必要がある。…と思いました。

要は、人材市場で勝つ為の「自己マーケティング」が求められる時代が訪れた、と考えるべきです。組織に守られた気楽なサラリーマンという立場は消え去り、自立した個人の力量が常に問われる個人競争時代の到来、と見なければいけないという事です。

常に人から求められる人材となる為には、人材市場というマーケットの求めるニーズを見極め、それに応えられる戦略「個人ブランドのマーケティングをするという考え方の下、特に個人ブランドとしての自分の特徴を活かす『キャリアと職能』の確立」を目指す事が、個人主義的な色あいを深める現代では、必要とされている事と感じています。

「マーケティング能力」。それは「働く人が将来身に付けるべき必須事項になる!」。
そんな予感がします。

今回の投稿は、7月7日以来で17日ぶりの投稿となりました。
最低週一回の投稿をしたいと考えて来ましたが、書くモチベーションが上がらず、プチスランプ気味になってしまいました。

リアクションを受ける事なく、書く事だけの為に一日を過ごす生活を送っているので、つい「何のために書いているのだろう?」…と。
そんな疑問に囚われる事が多くなって来ているのが、スランプの大きな要因かと思っています。

その上に、読むべき本に一区切りが付き、今後どんな本を読んでいくべきかの方向性が見えなくなっている事。そして、実現力思考の思考展開に詰まりがあり、思うように思考展開が進まない事も、輪を掛けてモチベーションの低下に繋がっていると考えています。

読んで下さっている方には申し訳ないのですが、今のブログ生活のリズム、やり方、内容を見つめ直す時間を取りたいと考えております。
しばし、週一投稿が不定期投稿になるかもしれません。

ただ、記事公開を止めるという事ではありません。ただ、スランプ脱出の期間、投稿リズムの乱れをご容赦頂きたく考えています。
勝手ながら、宜しくお願いいたします。

2022年7月23日記

本の明細
著書名:USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門
著者名:森岡毅
発行所:㈱KADOKAWA
第1刷発行日:2016年4月23日
定価:1400円+税

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