【書評】武器としての「図で考える習慣」「抽象化思考」のレッスン 著者:平井孝志
「図で考える」というアプローチは、「深く考える」の答えの一つ。
しかも、誰でも使える、効果的な武器である。
…と、この本の書き出し部の言葉です。
私達は、仕事で失敗が有った後輩や部下に、「もっと考えを深めないとダメだよ!」…と気軽に言ってしまう時が有ろうかと思います。でも、もしその時に「じゃあ、どうすれば考えが深めれられるのかを教えて下さい!」と逆襲されたら、あなただったら、返答出来るでしょうか?
「深く考える」という事の大切さは、誰しも「感覚的には大切」だと感じているとは思います。でもいざ、深く考えるという事は、どういう意味があるのか?、どうすれば深く考えられるのか?と問われると、答えに窮する人が多いのではないかと思います。
その時に「図で考えれば、深く考えられるようになるよ!」と言えれば、あなたの株は上がるし、尊敬を勝ち取れるかもしれません。
「図で考える」力は、「物事の本質を1枚の紙の上に表現できる強力な道具」「深く考える道具」になる!
是非身に付けていきたい!…とこの本を読みながら、私はそう感じました。
図にはいろいろな特徴が有りますが、一番すごいと思う所は「直観的な一覧性」にあると私は考えています。よく出来た図は、そのタイトルと図を見ただけで、訴えかけるものが見えて来ます。
この本に紹介された図例をご紹介致します。
どの事業からキャッシュを生み出し、どの新規事業を育てるべきか。経営課題を議論する為の枠組みの図(PPM)です。
このPPM図の論理は、以下の通りです。
『「金の生る木」にある事業は、シェアが高くて市場はもう成熟しているので、キャッシュを生み出しているはず。その儲けたキャッシュを「問題児」にある事業(今は弱いけど、市場は伸びていて魅力的)に投入してスターにしよう。スターになれば、市場が成熟した時、その事業は「金の生る木」になる。そしたら、そこから生まれるキャッシュを再び「問題児」に…という「循環の戦略論」。』
これだけの内容を1枚の図で表現できているのを見ると、「いかに図の力がすごいか」が分かります。
そこで、私も上記PPM図で使用している「田の字」の型を利用した図作りに挑戦してみました。
図作成トライの内容としては、自分の周りにいる人達が「自分にとってどういう位置にいる人なのか?」を人物評価する機能図を作る事です。自分の人脈は今のままで良いのか?付き合い方はこのままで良いのか?、人脈を主体に人付き合いを考える契機にしたい目的が有ります。
図の変数であるタテ軸は「自分の成長に寄与してくれる人の評価軸」で、ヨコ軸は「自分の生活の豊かさに寄与してくれている人の評価軸」です。
自分の付き合いがある人達を、四つの枠(図左上から時計回りで「成長のスパイス」「仕事のパートナー」「生活のパートナー」「遠縁の人」)に当て嵌めていくと、その人との関係が明確化され、以降の付き合い方を考える資料となります。又、その分布の仕方を見る事で、自分の人付き合いの偏向具合などが明確化され、新たな友達や人脈作りを考える起点となります。尚、ヨコ軸・タテ軸の変数の内容を変えると又違った世界が見えて来ます。
図に書き出す事で、もつれている概念が解きほぐされ、隠れている真理が「見える化」されてきます。そして図にすると、写真の様に一瞬に全体像の理解が深まり、と同時に記憶もしやすくなります。
私にも図を作成する事が出来ました。
皆様にも是非ともトライして頂きたいと思います。尚、最初はこの本に記載してある既存の四つの型を使うと、やりやすいかと思われます。…私のトライ図の評価は皆様に委ねます…。
こういった図の使用は、ビジネスの場のみでなく「あらゆる生活の場」でも生かされるべき!…と私は考えています。
図を作るのは、俯瞰して物事を見る事を余儀なくさせられます。だから、悩みが有ったらあえて図作成に挑戦しながら悩み事を整理すると、悩みの全体像が見えて来て理解が進みます。たった1回の経験ですが、私にはそう感じました。
侵略戦争に巻き込まれているウクライナの大統領が、色々な武器を欲しがるように、思考でも「色々な特徴を持った思考の武器」を持つことは、強みとなります。
そういう意味で、図を描いた事のない人には、図作成に是非ともチャレンジする事をおススメ致します。
図作成に魅了されるかもしれません!
遅すぎたかな~。
今更ながら、目の前に起きている事を理解する事の大切さを感じています。
そして、その為には、深く考える技術が必要だという事。
やっぱり、遅すぎたな!
そう感じる今日この頃です。
狙いは、全てに対して自分の意見を持つ事。
そして、発信する事。
それが人生を面白くさせる!
そんな事を最近は考えています。
2022年6月1日記
本の明細
著書名:武器としての「図で考える習慣」「抽象化思考」のレッスン
著者名:平井孝志
発行所:東洋経済新報社
第1刷発行日:2020年7月30日
定価:1600円+税