【書評】やりたいことが見つからない君へ 著者:坪田信貴

この本の著者は、TV番組でドラマ化された「通称ビリギャル」の本を書いた方で、学習塾の「坪田塾」塾長です。

この本は、やりたいことが見つからないで悩んでいる10代の若者の為に、『「やりたい事を見付ける」為に何が必要なのかを説いた「人生戦略」の本』と感じました。

若くして「自分のやりたい事」が見つかっている人は意外と少ないのではないかと思います。かくいう私も大学受験の際、これをやりたいから「この大学のこの学部を受けたい」という「自分のやりたい事」が見つかっておりませんでした。私の大学・学部・学科の選定基準は、やりたい事が思い付かないから「何処なら受かり易いのか?」を優先して大学を選定し、受験しました。

今その時を振り返ると、やむをえなかったとも言えます。何故なら、その時は「やりたいことを見付けること」がその後の人生を左右する大きな転機になる事を知らなかったからです。甘く評価すると、ある意味で「知識も経験も不足だったのだから仕方がない」そうも思えます。

ただその時点では知識・経験不足と言う事で容認するとしても、残念なことは、「やりたい事を見付ける」重要さに気付かないそのままの流れでその後の人生も送ってしまった事です。その結果として、大学の授業も卒業後の就職先も、自分の意思がない中途半端な学びそして中途半端な生き方の選択となってしまいました。「やりたい事をやっていない」ということは、他人が考えたいわゆる常識の路線を進んでいると言う事で、そこには自分の熱中も創意も意思もありません。いわゆる「ボーッとして生きている」状態です。

「やりたい事が見つからない」まま生きるのは、やはり惜しい!…それは、「自分自身の人生を生きていないことを示している」と今は言えます。もっと刺激に囲まれて熱中できる生き方があるよ!と過去の自分に声を掛けてやりたい!…過去は取り返す事が出来ませんが…。

大切な事は「やりたい事を見付けるまで、見付け様とする意思を持ち続けること」だと私は考えています。若い時期というのは経験が不足しているから、自分の好きな事や得意な事、そして自分の個性が見えてないので、見つからなくても仕方がない部分が大きいと思います。

でもそこで発生する真の問題は、学生時に必要に迫られ仮説的に将来の仕事分野を選択した後も、社会人になっても本当に「やりたい事を見付ける」ことなく、いつの間にか生活の中で惰性に流されて、その想いを忘れ、何となく生きてしまう事に有ります。

では、どうしたら惰性に流されなくて済むのでしょうか?その点について、この本では「短期的視野でなく長期的視野で物事を捉える」事を推奨しています。要は「やりたい事を見付ける事」を選ぶ時期は、「いまの少ないカード」から選ぶのでなく、もっと「手持ちのカードを増やしてから」にすると決めるのです。それまでは今「目の前のやるべき事」に集中する。学生にとって言えば、それは「学ぶ」こと。

学びや経験を積み重ねる事で、自信が出て来て視野も広がる。そして成長する事で、課題が見えて来て、「自分のやりたい事」も見えて来る。この時期について著者は次の様に言ってます。

「やりたい事が見つかれば、やる気が出る」のでなく、「出来る様になったから、やる気が出る」のだと。つまり、考え方の道筋は、
不正解:「やりたい事が見つかる。→やる気が出る。→勉強する。→出来る。」
正解 :「出来る。→勉強する。→やる気が出る。→やりたい事が見つかる。」

自分の人生に求める究極のゴールからみると、「やりたい事を見付ける事」はあくまでも選択すべき手段であって目指すべきゴールでは有りません。だからこそ自分の知識を増やし、経験を重ねる事で自分の可能性と視野が広がり、周りが見える様になることで自分の中に生まれる問題意識から、自然発生的に「やりたい事が見えて来る」その熟成期間を持つ。本当に「やりたい事を見付ける」為には、「成長する~視野を広げる」という思考の間口を広げる準備期間が必要だという事を言っているのだと思います。

そして著者は次の様にも言ってます。
【10代では「やりたい事が分からない」人は沢山いる。でも今分からなくても不安になる必要はない。誰かに決められた道を選ぶのは、むしろ有害。誰かに決められた道を黙って選ぶのでなく、自分自身でしっかり考えて選んだ「自分の人生」を生きて欲しい。】

この本によると、「人生や世の中って辛い事が多いと思いますか?、楽しい事が多いと思いますか?」という質問を卒塾式で卒塾していく学生にすると、「人生は、楽しい事ばかり」と答える人が「2~3人/100名中」いるそうです。でもこの「人生は楽しい事ばかり」と答えた学生さんも、社会に出た後も同じ質問をされてこう答えられる人は、ごくわずかしか残らないでしょう。

読者の皆様には、是非とも「やりたい事を見付け」常に熱中する時間を送る事で、この「人生は、楽しい事ばかり」と言えるわずかな人の一員に成って欲しいと思います。この本には、そのわずかな人になれる思考法を身に付けるヒントが沢山ある。…この本を読みながら、そう感じました。

年明け早々、ワードプレスソフトのシステム障害が発生し、二週間強を取られてしまいました。
実は修正方法が見出せず、放置してみるという乱暴な手段を取った結果、無事復旧しました。
読者の方には、大変ご迷惑をお掛け致しました。
書く事が生活の柱となっていたので、復旧し今は安堵しています。
又頑張りますので、これに懲りずご支援の程、宜しくお願い致します。

2022年1月23日記

本の明細
著書名:やりたいことが見つからない君へ
著者名:坪田信貴
発行所:㈱小学館
第1刷発行日:2021年10月6日
定価:900円+税

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