【書評】［新版］MBAクリティカルシンキング　著者：グロービス・マネジメント・インスティテュート

突然、「あなたにとって生きていく上で、大切な事は何ですか？」
そう問われた時、あなたは何と答えますか？

・当然愛だ！
・私は家族だ！
・普通お金だろ！
・やはり健康だ！
・やっぱり命でしょ！

この5つの中から答える人が、大勢を占めるような気がします。

そこで、改めて「自分にとって何が一番大切なことなのだろうか？」と考えてみました。
どれも大切ですが、結論はやはり命ですね！
命が有れば、そして諦めなければ、前に進める事が出来ますから。
今、東京パラリンピックが開催されようとしていますが、身体の一部が欠損しているにも関わらず出場する人達を考えると、「命が有り、諦めない心が有れば、チャレンジする人生を楽しむ事が出来るのだ！」と勇気付けられます。

では、「その命を守る為には何が大切ですか？」と一歩踏み込んで自分に問えば、今は「問題を解決する力が大事」という答えとなります。
平穏な日々が、1つの問題により、悩みの日々、地獄の日々に変わってしまう事が有ります。
問題というのは、時間と共に悪化の度合いが深まり、行動の遅れは致命的な結果に繋がって取り返しのつかない結果を導きます。
これは、私が数多くの痛い経験を通して学んだ事です。

いかにスピーディに目の前にある問題・課題を解決に導けるか？
その解決力こそが、日々の暮らしの安心・安全を作り、ひいては自分の命を守る事となります。
問題の解決は、その「早さや、速さ」こそが命と、私の経験が教えてくれています。

では、その問題・課題の解決力はどうしたら身に付くのか？
そこにこそ、「クリティカルシンキングの役目」があると、私は考えています。

問題や課題は、「深く考える」「早く、かつ速く考える」事が求められます。
でも、現実には、何をどう進めたら良いのか分からない！
そこで煮詰まって、前に進めなくなる人が多くいるのではないでしょうか？

残念ながら、こういう社会人に必要で・有用な手法の教育は、今の小・中・高の学校では教えてくれないと思います。
だから、自分で学び、身に付ける必要がある。…と私は考えています。
私は、クリティカルシンキングを学んでいる最中ですが、「学ぶ価値がある！」と感じています。

クリティカルシンキングの優れている所を私なりに言えば、問題・課題に向かった際に、迷わず進められる思考の体系がすべて詰まっている所にあります。
それは、考える姿勢（心構え）であり、考える手順（事象の構造化、考える具体的段取り、分析のフレームワーク）であり、考える論理立て（帰納と演繹、因果関係分析）であり、そして結論を上手に伝える方法（伝える技術）など、が網羅されています。

そして重要な事は、クリティカルシンキングは、変化の時代に対応した思考法だという事です。
変化するという事は、いままでの前提を変える事であり、前提を壊す事です。

クリティカルシンキングのクリティカル（critical)とは、「批判的な」と訳します。
それは、「これは、本当に正しいのか？」「本来どうあるべきか？」を自問自答する事であり、「現状を批判的に見て、あるべき方向へと導く」思考法です。
変化の時代には、問題解決より「問題を発見し、意味を創出する能力が望まれている…ニュータイプ・著者：山口　周」との事です。
それは、インターネットにより情報が民主化した現在では、新たな価値の創出（問題の発見とその解決法のセット）が重要になるとの予測です。
問題発見には、常に今ある常識を「それは本当に正しいの？」と疑う事視点を持つ必要が有ります。
私はクリティカルシンキングを学ぶ事で、常に常識を疑い、新しい視点で変化の時代に求められる価値を創出出来るようになりたい、と考えています。

本書は、「具体的事例を多く示す事でその力を実感・習得してもらう」事を主眼とした実践的書です。
ただ、本の内容は濃厚で、周辺知識がないと分かり難いかもしれません。
でも、クリティカルシンキングは、急激な変化に対応する為に是非とも身に付けたい、そして必要とされる思考法と読み解きました。

あなたも、クリティカルシンキングの学びにチャレンジしてみませんか！