【書評】まんがでわかる「サピエンス全史」 監修:山形浩生
始めて読んだ人は「ホモサピエンスの力は、虚構の力にある」と言われても、”それってどういう事?”と思うのではないかと思います。
人が動物より優れているのは「考える大きな脳」があるからだよね!…と、少なくとも私は、そう単純に理解していました。
お叱りを受けるかもしれませんが、世の中の人も、そう理解している人が主流なのではないでしょうか?
でも、この本を読んで、人類が編み出した「虚構の力」が世界を動かしている事を学び、歴史を理解する新たな軸をもらった気がしています。
現代人は、人類が作ってきた「虚構=フィクション」の中で生まれ育って来たので、それが当たり前・常識であって「虚構が人類を発展させた」と気付く事は難しい事だと思います。
だから、この本を読んでまさに「目からウロコが落ちた」状態に感じました。
当たり前に使っている「貨幣」「法律」「宗教」「国家」などの概念が、「目的をもって作られた虚構」から生まれて来ていて、人は知らずにその傘下で生きていて、それに制約され続けている。
堀江貴文さんの言う「常識はフィクション」とはそういう事を意味しているのか、と一気に理解が進みました。
「常識=正解」ではない!
いや、「常識=不正解」なのかも知れない!
そう考えなければ、今ある問題である不平等や格差の是正は出来ないし、気付かれていない「虚構の持つ問題点」も発見できない!
常識が意図を持って作られた「虚構=フィクション」であると考えるならば、常に我々は「その常識は本当に正しいのか?」という問い掛けをし、見直し、判断し、新たに書き換える事が必要になります。
まさに「全ての常識はまず疑え!」…という新たなゼロベースの視点で様々な問題と向き合う事が必要になる。
あなたが、気持ち的には疑問を感じながらも「常識だから」と割り切って生きてきたなら、それまでの生きるスタンス自体を変える必要があるよ!
そうしないと、あなたは、他人が作ったストーリーの中で生きる単なる一人の登場人物でしかなく、新たなストーリーで描く自分の人生を生きる事は出来ないよ!
そう、言われている気がしました。
この本を読むきっかけは、好きな堀江貴文さんが人生の教養本として「サピエンス全史」を読む事を推奨していたからです。
サピエンス全史は上下巻があるので、まずは”お試し”として堀江貴文さんの対談も載っている事もあり、サピエンス全史の漫画本を読んでみました。
私は基本的に漫画本は結構好きです。
漫画は情報は少ないですが、生活の中でどのような形で本の内容が関係してくるのか?、具体性が有り分かり易いし、その意味で実用的でもある所が気に入っています。
この本の様に、解説と漫画が並行で書かれていると、理解し易いし、理解さえできれば応用力が生まれます。
本来、原作本を読んで、補完として漫画本を読むのが筋だとは思いますが、情報の溢れる現代ではスピード感が必要です。
その意味で、隙間時間を利用して本のエキスを採り入れたいと思う方には、漫画本は結構利用価値のある読み物だと思います。
深く知りたい、原作者の声を聞きたいと思う人は原作本で、本質さえ掴めれば良いと思う人は漫画本で、と使い分けるのが良いかと思います。
私自身の読後の結論としては、世の中を理解するには、この本の「虚構=フィクション」を理解する事は重要なテーマであり、人類の過去の歴史から現代に至る迄の社会の成り立ちを理解する為に、学べき必須事項と思われました。
私自身は、機会を作り原作本も読もうと今は考えています。
こういう自分の視点を広げてくれる本は本当に有難い。
でも、中々こういう本には出合えないのだろうな~!
2021年6月27日記
本の明細
著書名:まんがでわかるサピエンス全史
監修:山形浩生
発行所:㈱宝島社
第1刷発行日:2021年4月11日
定価:1000円+税